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【2024/05/21 00:19 】 |
探索4日目(第36回)
今日、シェルフに本を届けに行ったら…
シェルフの横に人が立ってた。

背は…僕と同じぐらい?
年も…僕と同じ、に見える…ぐらい?

きちんとした身なりと、なんだか未来の紳士って感じの帽子と眼鏡。
眼鏡の奥…真っ黒な目だ。人間さんじゃないのかな。どうなんだろう?

きっと学生さんかな。なんだか頭もよさそうだ。
僕、読み書きはできるけど、学校には行ったことないや。

そういえばシェルフは今日は場所を動いてなかったけど、
もしかして誰かと待ち合わせしてたのかな?

それが…もしかして、この人?

遺跡の中で人と会うのが初めてだったから、何を話せばいいのかわからなくて、ぺこりと頭だけ下げた。
そして、逃げるように…ううん、ドキドキしたから、逃げちゃった。


今度会ったらあいさつしなきゃ。
なんて言おう?


はじめまして、こんにちは、僕の名前はイスマです。
本棚の名前はシェルフって言います。

それから、それから、

シェルフはクールだけど寂しがり屋だから、仲良くしてあげてください。

あと、あと、

僕とも仲良くしてください!


…言えるかな?
ううん、絶対言おう!



---------------------

【イスマ・ディ・オード】

これが僕の名前です。
オードは僕のお父さんの名前で、オードの子のイスマ、って意味です。
お父さんのことは、たぶんこの島とは関係ないだろうから…
ううん、ちょっと嘘つきました。
お父さんのことは、僕もよく知らないんです。
だから、とばして説明します。

年は4歳です。
生まれてから3年までの間は、普通に過ごしました。
4歳になる時に、一気に10年分の歳をとりました。
理由は…お母さんは教えてくれませんでした。


それで、大きくなったからひとりで街に出ても大丈夫だねってことになって、
はじめてお母さんの手を繋がないで街に行きました。
本当は、お店に行って、ランプの油を買いに行くところだったんだけど…

いつもと違う背の高さが、
いつもと違う景色を作ったから、
いつも通り過ぎる小さな家具屋さんの、
ひとつしかないショーウインドウの少し曇ったガラス越しに

棚が見えたんです。

その一番下の段だけ、すごく広くなっていて、
そこに一冊、その段に見合うような大きな本が飾ってありました。
表紙には、夜空を指さす大人の人と、横で夜空を見上げる子供が描いてありました。

あんなに大きな絵本はうちにはなかったから、読んでみたいなって思いました。
ほんとはダメって言われていたけど、僕、ちょっと寄り道したんです。


お店の中に入ると、たくさんの家具と、やわらかい木のにおいが出迎えてくれました。
奥から、ゴリゴリと木を切る音が聞こえました。
多分、奥の部屋では今も新しい家具が作られているんだろうな。

新品の大きなたんすの奥の机から、
優しそうなおばさんがひょいと顔を出しました。

「おや…いらっしゃい、坊や」
「おばさん、あの棚の本はなんですか?」
「おや、気に入ったのかい?
 それはうちの息子のために買った本なんだけど
 息子も大きくなったから、ああして飾ってみたんだよ」
「あんな大きな本、はじめて見たから…」
「じゃあ、読んでみるかい?」
「はい!」


本の名前は【夜空でいちばん赤い星】

内容ですか? それは…
これを読んでいるあなたがもし同じ名前・同じ表紙の本を見つけたら、読んでみてください。


やわらかな色使いの挿絵は、
夜の物語なのに、七色でとてもきらめいて見えました。

それと、おばさんが読む優しくて温かい声。
幻想的で、不思議な物語。

読み終わったおばさんに、僕は言いました。

「この本、くれませんか?」

「あらあら、そんなに気に入ったのかい?」
「は、はい
 …ダメですか?」
「そうだねえ
 それじゃあ、その棚と一緒にしようかね
 棚を買ってくれたら、その本も一緒にあげるよ」
「ほんとに?」
「ええ、ほんとだよ
 坊やの親御さんに、聞いておいで」


油を買うのも忘れて、急いで家に帰ったら…
帰りが遅いので心配していたお母さんに、「どこで油を売ってたの!」なんて


「いや、別に面白くないから」




言われなかったけど
お母さんは帰りの遅かった僕を抱きしめて、
「おかえりなさい」
って言ってくれました。

なんだかそれがすごく嬉しくて、暖かくて、優しくて、
なんだか半分眠たくなってしまったけれど…

残りの半分の元気を使って、棚と絵本のことをお願いしました。

「商売上手な家具屋さんね」
とひとりごとを言って、お母さんがくすっと笑って

今度は僕とお母さんが並んで街に出ることになりました。


こうしてシェルフが僕の家にやってきました。
あっ、ちゃんと油もその時に買いました。

それから、今の状況になるまでのことは…



「おーい」





「あんたねえ…ちょっといい加減にしなさいよ」





「え?」





なんだか、それどころじゃないようです。
えっと、それじゃあ、また今度。

-------------

HP 2202位 (1281)
SP 2234位 (139)
PHP 2159位 (914)
体格 1987位 (114)
魔力 1405位 (50)
敏捷 1958位 (55)
魅力 1246位 (60)
器用 1832位 (60)
天恵 1597位 (100)




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【2010/07/14 23:53 】 | 日記バックナンバー | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
探索3日目(第35回)
トコトコと足音が遺跡の通路から聞こえる。
不規則なリズム。どこか不安な印象を与えるような。

分厚い本を何冊も抱えた少年が闇の中から姿を現した。
引きずるような長い着衣の中から、ふらつく足音を響かせて。
衣から覗く白い肌。
青碧の髪に、海青の瞳。
何かに敵対することを知らない、無垢で弱弱しくも見える輝き。

総じて言えば、
獣が徘徊する遺跡において、身を守る術など持っていないのではないかと思わんばかりの

少年が歩いてきた。

(殊この遺跡では弱そうに見える者ほど強いらしいが、それはさておき)


遺跡の中に不釣合いな本棚がひとつ。

「いたいた」
少年はその本棚の前で足を止めると、抱えてきた本を一冊一冊棚へと収納していく。

足を爪立たせ、震える手先で一番分厚い本を一番高い段に挟み込みながら、
「シェルフ、そんなに急いだら追いつけないよ」
変声期も来ていない、少年特有の高く柔らかな声で。
その「もの」に対して呼びかける。

当然、返事などなかった。

「また来るからね」

一仕事終えた少年は、本棚から抜き取った古雑誌を手に
遺跡の闇の中へと消えていった。



HP 2203位 (1281)
SP 2234位 (139)
PHP 2156位 (914)
体格 1992位 (114)
魔力 1406位 (50)
敏捷 1964位 (55)
魅力 1247位 (60)
器用 1831位 (60)
天恵 1600位 (100)

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自分の世界が変わった世界
生きててよかった!

ありがとうございました。
【2010/07/09 23:00 】 | 日記バックナンバー | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
探索2日目(第34回)
本棚が動くわけないじゃないか








あ、キャスターついてる

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ブックシェルフのランキング
HP 2242位 (980)
SP 2261位 (121)
PHP 2210位 (628)
体格 2093位 (75)
魔力 1398位 (50)
敏捷 1962位 (55)
魅力 1240位 (60)
器用 1833位 (60)
天恵 1724位 (75)

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ランキングは独自調査を行っております。

調べられる所ってないんですか?
【2010/07/04 15:40 】 | 日記バックナンバー | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
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