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【2024/05/21 00:19 】 |
探索7日目(第39回) 6日目分を含みます
本棚はなぜ動くのか?
それは、キャスターがついているからである。




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ひとつの概念として、「精神」と「物質」を切り離す。

更にもう一つ。「精神」を動的な「思念」と静的な「意志」に切り離す。

「思念」は種であり、
「物質」という土に種が根を張る時、
「意志」という芽が出る。

なれば、ひとつの疑問として。
その「物質」に、土となるための資質があるとすればそれは何か。

それはおそらく、
「生命」という、曖昧な波がゼロでないことだろう。


波は誰によって生み出されるのか?
その原始は、必要に迫られれば「神」と定義できるだろう。
しかし、今においては「母」が生み出すものだ。

逆に。
その「生命」の「母」さえいれば、
すべての「物質」は「思念」の種を受け、「意志」を芽生えさせるのだ。

ある少数民族に、そういった能力が伝わっているという。
まるで幽霊かなにかとともに暮らしているかのように、
家具が動き、人形が話しかけ、人と同じくそこに息づくのだという。

この世界にありふれたすべての「思念」が、
今ここに立つ「己」を作るのだ。

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イスマは今日も、島を本を抱えて歩いていた。

手押し車があったら便利だなあとか、
そんなことをぼんやりと考えながら。




本の魔女、サトゥルナ。

生涯の中で自宅に10万の書物を置き、
その全てを読破したと言われる。

俗世を嫌い、森の奥の家にこもってのち、
その姿を見たものはない。

家の周囲には、異界より現れた不気味な魔物たち。
勇士が退治するも、その数は減らず。

ついに討伐隊が結成され、家の中へと立ち入ることに。
しかし、その家に踏み入ったのち、帰った者はいない。






(…結局、あのあと僕が折れてしまわんかという時に…)



いつの間にかシェルフが側にいて、
その傍らで落ちた乾いた重い音。

シェルフから落ちた本の音だった。

ささやかな自己主張。
拾って読むと、「彼女」の名があった。





「要するに、本が好きで好きでたまらない幽霊なのよ」





シェルフに乗っている以外は、なんでもないただの幽霊らしい。

…どうして僕にも見えたんだろう?


首を傾げながら、今日も本を運ぶ。

遺跡の外の店の前にシェルフはいた。




「しょうねーん」



笑顔で手を振るサトゥルナさんも。


…えっと、これ。
新しい友達ができた…のかな?

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【2010/08/18 20:37 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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